人間は 誰かが なかなか 破れなかった記録を 更新したり
常識を覆す 新しいことを 成し遂げたりすると
「 自分にもできるかも 」 と思うようになります。
つまり 今まで 記録を破れなかった 一番の理由は
「 この記録は この時代に 破る者は 出てこないだろう 」
と 思う気持ちが 心の片隅にあったからなのです。
自分と 同じくらいの力を持つ アスリート達が
日々 厳しいトレーニングを 積んでいるのに
なかなか破れないでいると 各アスリートは
自分の力に 少しずつ 限界を感じてくるのだと 思います。
「自分達より 一歩抜きん出た能力を持つ選手が 出現しないと
破ることが できないのではないか」
この思いが リミッターとして働き 持っている力を
最大限に引き出すことが できないでいたのです。
しかし そういう中にも リミッターを
自力で外すものが出てきます。
肉体的パフォーマンスは同じでも
それを引き出す心が 少しだけ 違うのです。
そのわずかな差で 新記録が誕生するわけです。
新記録は 一流アスリートが 持っている このリミッターを
はずす力を持っています。
だから 新記録が樹立されると 樹立者と自分を
同レベルと認識していた選手達の心が こう叫ぶのです。
「あいつにできたんだ。俺にできないわけがない。
できる。俺は まだまだ 伸びる 」
その結果 同じような 記録を出せる選手が いきなり 増え始めます。
しかし この新世代にも 新たなリミッターがかかり
記録の伸びを 押さえ込むわけです。
そして 記録が伸びるほど 次のリミッターは
大きなものになっていきます。
ですから 次のリミッター外しを 自力でできる 選手の登場に
約10年の歳月を 必要としていたわけです。
ところが ボルトは この リミッターを
一人で 10年分 先に進めることに 成功したのです。
この成功は 次に誰かが ボルトと同記録を出した時
ボルトが そうであったように 自分で その記録を
短期間で大幅に縮める可能性が 出てきたと
僕は 感じています。
その時出る記録は 9秒3台という 夢のような記録です。
そんなの 無理だよと 思われる方も おられるでしょう。
でも 僕は 信じています。
僕が死ぬまでに 9秒3台という記録を
眼にすることが できるだろうと。
-続く-
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