カラーパウダ-爆発事故と中学理科2

こんな イメージをしてみると 分かりやすいかもしれません。

 

固まりに 火をつけることは 一箇所で 大きなものに

 

火をつけることだと考えて下さい。

 

この場合 内部まで燃えるのに 時間がかかるし 隣に

 

燃え移るものがなければ 燃え広がりません。

 

そして 粉末にして 火をつけることを 同時に

 

たくさんの場所で 小さなものに 火をつけることだと

 

想像して下さい。

 

粉末にして 散布した結果 空中に 10万粒の

 

細かい粉塵が 漂っていたとします。

 

ここに 火を近づけると 1箇所ではなく

 

たとえば 1000箇所で 同時に 火の手があがるのです。

 

さらに まわりに空気(酸素)があるから

 

まだ火がついていない仲間にも 一瞬にして 飛び火します。

 

つまり 爆発的に 火が広がることになります。

 

密度が小さく 小さな粒になる物質ほど

 

空中に 漂っていやすくなります。

 

100㎛以下になると 空中に漂い

 

すぐには 落ちてきません。

 

 

これを 一般には 粉末にすると 物質の表面積が

 

大きくなるから 燃えやすくなると 表現しているわけです。

 

その物質が 燃えるのを助ける 気と触れ合う

 

積が 大きなるから 危険だということです。

 

下の表で どの物質が 粉塵爆発しやすいか 比べてみて下さい。

 

炭素(ダイヤモンド)は無色ですが ここでは 主成分の70%が炭素である石炭を

 

炭素と考えて下さい。

 

ショ糖(スクロース)とは いわゆる 砂糖のことです。

 

小麦の成分の80%は デンプンなので ここでは 大雑把に

 

デンプン≑小麦と考えて下さい。

 

◎ 超危険 ○ 危険 △ やや危険 × 粉塵爆発しにくい

 

物質

密度 (g/cm)

粒の大きさ(μm)

灰白

7.9

×

200

亜鉛

7.1

×

10

 炭素(石炭)

3.5

50

アルミニウム

銀白

2.7

10100

硫黄

2.1

100300

ショ糖 (砂糖)

無色

1.6

2050

デンプン(小麦)

1.5

50100

 

密度と粒の大きさ 両方を 考え合わせて 漂いやすさを 判断すると

 

漂いやすい順位は こうなります。

 

1位 ショ糖 デンプン  (◎が2)

2位 アルミニウム   (◎と○が 1つずつ)

3位 硫黄       (○2つ)

 

 

これらを 粉末にした場合 近くに火種があると 危険であることが 分かります。

 

-続く-

 

 

 

 

さて 漂いやすさは分かりましたが 同じ漂いやすさでも 火がつきやすい方が

 

危ないですね。 

 

そこで 次の質問です。

 

次の中で 粉塵にした時  最も 火がつきやすいものは どれ?

 

           鉄   ② 亜鉛  ③ 石炭  ④ アルミニウム

 

⑤ 硫黄   ⑥ ショ糖

 

 

答えは ⑤ 硫黄です。 下表を ご覧下さい。

 

◎ 超危険 ○ 危険 △ やや危険 × 粉塵爆発しにくい

  物質の種類

融 点 ()

浮遊粉塵

発火点

()

危険度

1535

×

316

亜鉛

420

680

炭素(石炭)

3550

×

610

アルミニウム

660

645

硫黄

113

190

ショ糖 (砂糖)

185

410

デンプン(小麦粉)

256~258

470

 

 

物質には それぞれ 融点というものがあります。

 

融点とは 固体が溶けて 液体になる時の 温度です。

 

すべてがそうではないですが 基本的に 溶け出すと広がって

 

空気と触れ合う部分が 大きくなるから 燃えすくなるのです。

 

だから 基本的に 融点が 低い物質ほど 燃えやすいことになります。

 

硫黄は 沸点も 浮遊粉塵発火温点 ともに 一番 低いから

 

一番 火がつきやすいと 言えます。

 

表から お分かりのように

 

鉄の融点は 1535℃ で 燃えにくいです。

 

しかし 粉塵にすると 発火点温度は 316℃と

 

激に 低くなっています。

 

固体の時は 燃えにくいが 粉状にすると

 

燃えやすくなるというわけです。

 

理由は 空気と触れる 表面積が大きくなるからです。

 

要するに 鉄は 粉塵にすると

 

危険な物質になるということです。

 

また ここでも デンプン ショ糖 硫黄 アルミニウムの 粉塵は

 

危険であることが 分かります。

 

粉塵は 乾燥した 環境であるほど 着火しやすいので

 

湿度も 考えに入れておく 必要があります。

 

 

さて 火がついたら 燃え広がっていく 勢いが強いほど 危ないですね。

 

では 最後の質問です。

 

次の中で 火がついたら 最も 燃え広がりやすいのは どれ?

 

           鉄   ② 亜鉛  ③ 石炭  ④ アルミニウム

 

⑤ 硫黄   ⑥ ショ糖

 

 

 

答えは ④ アルミニウム です。 

 

燃え広がりやすさを左右するのが その物質が燃えた時に

 

発生する熱量です。これを燃焼熱といいます。

 

燃焼熱が 大きいと まわりの 温度が上がり

 

まだ燃えていない まわりの粉塵が 融点に

 

達しやすくなります。

 

そして 融点に達すれば 燃えします。

 

下表は 燃焼熱を 比較したものです。 

 

火がついた場合 アルミニウムは 燃焼熱が 大きいので

 

燃え広がりやすく 危険ですね。

 

石炭は 融点が高いで 火はつきにくいですが

 

一度 火がついてしまえば 燃え広がりやすい

 

ということになります。

 

硫黄は 着火しやすかったですが 燃焼熱が小さいので

 

燃え広がりにくいことが 分かります。

 

◎ 超危険 ○ 危険 △ やや危険 × 粉塵爆発しにくい

  物質の種類

燃焼熱

  (kcaℓ/g)

危険度

4.8

亜鉛

1.3

×

炭素(石炭)

7.8

アルミニウム

14.8

硫黄

2.2

×

ショ糖 (砂糖)

3.9

デンプン(小麦)

3.9

 

 

また 石炭のように さまざまな成分(炭素 酸素 水素 窒素 硫黄 )

 

含んでいる場合には それらの成とも 化合して 燃えたり

 

有毒ガスを発生したりして 被害は 大きくなります。

 

水素は燃焼するし 一酸化炭素や二酸化硫黄は 有毒です。

 

これが炭塵爆発の 被害が大きい 理由となります。

 

  

今までのことを まとめてみると 次のようになります。

 

◎ 超危険 ○ 危険 △ やや危険 × 粉塵爆発しにくい

物質

密度

粒の大きさ

融点

発火点

燃焼熱

×

×

亜鉛

×

×

石炭

×

アルミニウム

硫黄

×

砂糖

小麦粉

 

なんと身近な 砂糖や小麦粉は とても 危険だということが よく分かります。

 

それなのに どうして これまで 家庭で 大きな事故が 起きていないか? 

 

当然ながら 粉塵にして 火のある場所に ばら撒いていないからです。

 

もし 小さな子供が ケーキ作りをしている お母さんの手伝いをして

 

シュガーパウダーを ばら撒き そこに 火があれば 引火して

 

大ヤケドということにも なりかねないわけです。

 

 本当に 小さな不注意で 大事故が 起きてしまうんだな~」

 

と 考えさせられました。