お母さんも 少し 気まずく思ったのか スマホを出して ゲームをし始めました。
しかし 少しすると 子供が お母さんに ウルトラマンの話を し始めたのです。
「 ねぇ 今度 新しい ウルトラマン 始まるんだよ 」
お母さんは イラッとした顔を 向けると そっけない 返事をしました。
「 それが何? どのウルトラマンも 結局は 同じでしょ。
最後は 何とか光線で やっつけて 終わり 」
「 ちがうもん 」
彼は 不満そうに 答えました。
「 くだらない話しない! あんなの つくり話でしょ。
そうやって 新しいウルトラマンつくって 子供を
ひきつけるのが テレビなの 」
突き放すような 言い方をすると お母さんは ゲームを 再開しました。
「 そんなこと言いながら お母さんだって 僕くらいの時 見たんでしょ」
「 ・・・・・・・ 」
お母さんは 返事もせず ゲームを 続けています。
僕は 自分の意にそぐわない話には 耳を貸さない 母親の態度に 呆れました。
「 家に帰っても こうなのかな? そうだとしたら
ちっとも 楽しくないよな 」
こう思いながら 彼を見ると 彼は お母さんの顔を じっと見ていました。
それなのに お母さんは 無視して ゲームを 続けていました。
すると 1 2分も しないうちに 息子は また 鼻歌を 歌い出したのです。
「 ねぇ うるさい! バカだって 思われるよ。お母さんに 恥かかせないの。
ああ もう 分かった ウルトラマンなしだからね 」
「 なんで・・ 」
鼻歌をやめ 息子は すぐに 聞き返しました。
「 だから ウルトラマンなしだって 言ってるでしょ 」
「 だから なんで・・ 」
「 それよりあんた 塾の宿題 終わってるんでしょうね 」
今度は やや脅すような口調で 母は話題を 変換して ごまかしました。
しかし 息子は ウルトラマンについて 再び 聞いたのです。
「 どうして ウルトラマンだめなの? 一週間で 一番の楽しみなのに 」
「 あんた お母さんの言ったこと 聞いてたの?
塾の宿題は どうしたって聞いたんでしょ。
終わってるんでしょうね 」
お母さんは またもや 強引に 話題を ウルトラマンから そらしました。
「 ううん あと少し 残ってる。帰ったら やろうと思ってた 」
「 うそつきなさい。本当は やろうなんて 思ってなかったんでしょ。
怒られるから 言っただけでしょ 」
お母さんは 彼の言葉を 信じず 彼を 問いただしました。
「 ほんとだもん やろうと 思ってたもん 」
僕は 彼が ウソを言っていないと 感じました。僕にも 経験があるからです。
このような時 ウソだと 怒って ごまかそうとすることが 多いからです。
たとえば こんな場合です。
「 こらっ 部屋きたないよ 掃除しなさい 」
と 母に 叱られた時です。
本当に 掃除しようと 思っている時は
「 うん ごめん 汚いね。そろそろ 叱られそうだから 片付けなきゃと
思っていたんだ。これからやるよ 」
と 素直に 聞き入れることができます。
しかし そうでない場合は
「 今 やろうと 思っていたんだってば うるさいんだから~ 」
なんて 答えてしまいます。
読者の中には 思い当たる方も 多くいらっしゃると 思います。
-続く-
コメントをお書きください