「 先生 覚えてますか? 俺達 高ニの時 クラスで
ケンカが 起きた時のこと ?」
「 いいや ぜん・・ぜん・・・記憶にない 」
「 そうですか? あの時 もう この先生
他の先生と まるで 違うって 驚きましたよ 」
僕は まったく忘れてしまっているので
首を傾げて 彼の 話を聞くことにしました。
「 確か 四時間目が 先生の授業で 先生 模造紙とか
はるために 早めに 来たんですよ 」
「 よく 四時間目なんてことも 覚えてんな~ 」
「 そりゃ そうですよ。俺にとっちゃ 大事件でしたから 」
「 ふ~ん それで 」
僕は 生徒の 記憶力の良さに感心しながらも まったく
まだ 思い出せませんでした。
「 先生が 教室入って 来たときには ケンカ 始まっていて
皆 遠巻きに見ていたんです。そしたら 先生 入ってきて
どうしたと 思います? 」
「 いや 覚えてない。 おまえ 他の先生と 間違ってない?」
僕は 今だ 思い出せず 生徒の 覚え違いじゃないかと
聞き返したのです。
「 AとBがケンカしていて Aがモップ持って
Bに殴りかかっていたんです。そしたら 先生 ババッって
走って 机の上から ジャンプして Aのモップを
飛び蹴りで 蹴り飛ばしたんですよ 」
「 あっ! 」
僕は「 確か そんなことが あった 」
と 思い出してきました。
「 その後が また すごいんですよ。ふつ~ 止めるでしょ。
生徒が ケンカ してたら 」
「あっ そうなの~ でも きっと 俺も止めたよねぇ~。
記憶にないけど 」
「 うわっ 出たよ あれだけことしておいて
忘れちゃってるって どういうことですか 先生 !
モップ蹴り飛ばして 二人が 素手になったら
ハイ Go ! 続けろよって 言ったんですよ 」
生徒は やや 興奮気味に 当時を振り返ったのです。
それでも 僕は 「 ああ 言ったかもな~ 」 と
ぐらいしか 思い出しませんでした。
そこで
「 まっさかぁ~ ウッソでしょう~。俺 信じらんない。
きっと それ コウちゃんだ 」
と とぼけて みせました。
-続く-
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