ケンカできない子よりできる子に2

「 先生 覚えてますか? 俺達 高ニの時 クラスで

 

ケンカが 起きた時のこと ?」

 

「 いいや ぜん・・ぜん・・・記憶にない 」

 

「 そうですか? あの時 もう この先生

 

他の先生と まるで 違うって 驚きましたよ 」

 

僕は まったく忘れてしまっているので 

 

首を傾げて 彼の 話を聞くことにしました。

 

「 確か 四時間目が 先生の授業で 先生 模造紙とか

 

はるために 早めに 来たんですよ 」

 

「 よく 四時間目なんてことも 覚えてんな~ 」

 

「 そりゃ そうですよ。俺にとっちゃ 大事件でしたから 」

 

「 ふ~ん それで 」

 

僕は 生徒の 記憶力の良さに感心しながらも まったく

 

まだ 思い出せませんでした。

 

「 先生が 教室入って 来たときには ケンカ 始まっていて

 

皆 遠巻きに見ていたんです。そしたら 先生 入ってきて

 

どうしたと 思います? 」

 

「 いや 覚えてない。 おまえ 他の先生と 間違ってない?」

 

僕は 今だ 思い出せず  生徒の 覚え違いじゃないかと

 

聞き返したのです。

 

「 AとBがケンカしていて Aがモップ持って

 

Bに殴りかかっていたんです。そしたら 先生 ババッって

 

走って 机の上から ジャンプして Aのモップを

 

飛び蹴りで 蹴り飛ばしたんですよ 」

 

「  あっ! 」

 

僕は「 確か そんなことが あった 」

 

と 思い出してきました。

 

「 その後が また すごいんですよ。ふつ~ 止めるでしょ。

 

生徒が ケンカ してたら 」

 

「あっ そうなの~ でも きっと 俺も止めたよねぇ~。

 

 記憶にないけど 」

 

「 うわっ 出たよ あれだけことしておいて

 

忘れちゃってるって どういうことですか 先生  !

 

モップ蹴り飛ばして 二人が 素手になったら

 

ハイ   Go !   続けろよって 言ったんですよ 」

 

生徒は やや 興奮気味に 当時を振り返ったのです。

 

それでも 僕は 「 ああ 言ったかもな~ 」 と

 

ぐらいしか 思い出しませんでした。

 

そこで

 

「 まっさかぁ~ ウッソでしょう~。俺 信じらんない。

 

きっと それ コウちゃんだ 」

 

と とぼけて みせました。

 

 

-続く-