ケンカできない子よりできる子に4

僕は この時 AとBが誰であったかは

 

忘れてしまいましたが

 

授業で 何を言ったかは 思い出したのです。

 

「 二人とも 実力は 互角だな。今日 負けた方は たまたまだ。

 

次の時 やれば 勝てるぞ。いいねぇ~ ケンカはいいことだよ。

 

後で ちゃんと 続きやれよ。 二人とも 仲良くなるぞ。

 

はい マブダチ誕生~ じゃ 続きは 必ず やれよ。

 

その時は 呼びに来い。 決着 見たいから。

 

よし てことで 授業 始めんぞ~って 」

 

「 まぁ はっきり 何て言ったかは 覚えていないけど

 

そんなこと 言ったなぁ~ ってことは 思い出したよ 」

 

僕は 初めて 思い出したという 返事をしました。

 

「 本当に それっきりでしたよね。授業終わってから

 

そっと 二人を呼ぶわけでもないし

 

担任に報告してもない。

 

昼休み 担任から 呼び出しがあるわけでもないし

 

担任が 来たわけでもなかったから。

 

あっ 担任にも 報告してないんだって

 

驚きましたよ」

 

「 いや しようかな~って 思ってたんだよ (笑) 」

 

「 うっそですよ。 だって 担任は 来なかったけど 

 

先生は また来たじゃないですか。

 

それも また 訳が分かんないことして 去って行った。

 

それも 覚えてますか?」

 

「 まあね 」

 

僕は 苦笑いして 答えました。

 

「 昼食べ終わった頃 いきなり入って来て

 

二人を確認したら お~い すぐ 始めて 腹叩くと

 

食べたもん 吐き出して もったいないから

 

続きは こなれてからに しろよって。

 

そして 二人に向かって やる時は

 

呼びに来いよ。 じゃあなって 

 

手を振って 出て行っちゃった。

 

俺 この人 頭おかしいって

 

思いましたよ 」

 

僕も 教室内にいた 何人かの生徒が

 

彼らを 心配そうに横目で見たあと

 

僕を見て 首をかしげたのを 思い出していました。

 

「 首 傾げてる奴も いたよな 」

 

「 そうですよ。 後で 問題になったら 

 

どうする つもりだったんですか?

 

二人が ほんとに ケンカして 大ケガでもしたら

 

担任にも 親にも 責任追及されて 首だったかも

 

しれませんよ。 考えなかったんですか? 」

 

「 ん~ 一応 頭には よぎったんだけどね。

 

でも 俺は 仲直りするって 見ていて 思ったんだよ 」

 

「 先生 それって 勘でしょ。よぎったら 普通 

 

先生が 担任のクラスじゃないんだし 担任に 任せようって

 

担任に 報告しに 行くでしょ。ふつう 」

 

「 ん~ だけど 何でかな~。せっかく 仲直り できるのに

 

それしちゃうと ダメになっちゃうって 思ったから

 

行かないで おまえたちんとこ 行っちゃったんだよな~ 」

 

僕は 当時の 自分の心境を 思い出しながら

 

答えました。

 

-続く-