デスノート4

 

二冊目も 数日で 書き終わりました。

 

また 新しいノートを買い 裏山に行く時 僕の心は 躍っていました。

 

ノートの中で 彼らを殺すことが 楽しくて しかたがなかったのです。

 

僕は 同じ相手を 何度も 何度も 殺しました。

 

ある時は 彼らが 無残にも 殺した 虫達に 食べさせ 殺しました。

 

ある時は 焼き殺し またある時は 殴り殺しました。

 

刺し殺したり おぼれ殺したり 毒蛇に噛ませたり 思いつく あらゆる

 

殺し方で 殺したのです。時々 スケッチまで 書き込みました。

 

正常な 精神状態の時は こういう負の妄想をすると 

 

疲れてしまったのですが この時は 元気が出てきたのです。

 

この時の僕は 魔界にいて 負のエネルギーを出すほど 喜びを

 

感じていたのです。

 

このノートは どんどん たまっていきました。

 

しかし 何冊かたまっていくうちに 僕の心に 変化が起きてきたのです。

 

最初の頃は 文字を書き込んだり 書き終えたノートを開き 書き込んだ

 

文字を見たりすると 喜びを感じていました。

 

文字の中に 自分の憎悪が こもっているのを 感じました。文字の恐ろしさを

 

感じながらも その力で 奴らは 死ぬんだと 僕はうれしかったのです。

 

僕は これまで 体を動かし わめき散らすことで 怒りを発散してきました。

 

だが それでも 吐き出しきれていない 強い怒りが あったことを

 

このノートは 教えてくれました。

 

吐き出そうとしても 心の中に ぴったりとくっついて 出て行かなかったのです。

 

その強い怒りが 憎悪の文字に乗り移り ノートへと 存在場所を

 

変えていったのです。逆に言うと このノートのおかげで 残っていた怒りも

 

吐き出すことができたわけです。

 

ところが 数冊目になった時 このノートの文字を見るのが 嫌になって

 

きたのです。

 

ついには 最初に 書き込んだノートを開いたとき ノートから放たれる 

 

悪気 魔臭気に 嫌悪し ノートを 投げ捨てるまでになりました。

 

五冊目になった時 ついに 僕の手は止まりました。

 

怒りが湧いてこなくなったのです。

 

そして たまったノートを見た時 悲しみだけが 感じられました。

 

「 この悲しみだな この悲しみが 僕なんだな  」と 分かりました。

 

ノートを重ねて持つと とても 重く感じられました。

 

「 重い! これは 憎しみの 重さなんだな。辛かったな こんなに怒りを

 

作り出し 怒りに 包まれていたなんて 息苦しいわけだ。頑張って来たよな 」

 

と 自分に言いました。

 

僕は 家に帰ると 小さいスコップとマッチを持ち出し 再び 病院の裏山へ

 

行きました。裏山に着くと いつもより 奥に入り 土を掘りました。

 

結構深く 50センチほどは 掘ったと思います。

 

最初のノートに マッチで火をつけました。

 

ノートは勢いよく 燃え出しました。

 

オレンジ色の炎の中で 黒く燃えた部分の所々に

 

赤い炎が浮かび あがりました。

 

黒と赤は まるで 生き物のように動いて

 

うねりながら 広がっていきました。

 

 

その動きは マグマが うごめいている様子に 似ていました。

 

-続く-