いじめの芽を発見した日2

「 おまえ まさか 父ちゃん母ちゃん仲悪くて 面白くないから

 

俺に 八つ当たり してるんじゃないだろうな? 」

 

すると 彼は これまでの 余裕をもった表情から 一変して

 

鬼のような形相で 迫ってきたのです。

 

彼は 地面に落ちていた 棒切れを拾うと 容赦ない 勢いで

 

殴りかかってきました。

 

僕は ただならぬ 彼の怒りに 身の危険を感じ 必死に

 

彼の攻撃をかわしました。

 

まるで 僕が彼をいじめ 彼が それに対して 必死に抵抗しているように

 

感じました。

 

彼は いじめを受け始めた当初の僕のように 「 ウ~ ア~ ア~ 」と

 

わめき散らしています。感情が高ぶって 言葉になっていないのです。

 

いじめをしてくる相手に 「 どうして 自分を分かってくれない  」と

 

泣き叫んでいた 僕の姿が重なりました。

 

驚きでした。いじめてくる相手が 僕に何を 分かってくれというのだと

 

理解に 苦しみました。

 

しかし 涙を流し始めた 彼を見た時 自分の気持ちが 彼の気持ちを

 

汲み取ることに 切り替わったのです。

 

僕は この時 はっきり 分かったのです。

 

「 こいつは やっぱり 僕をいじめることで 自分を慰めているんだ 」

 

今まで 自分ばかり 分かってもらおうと 「 どうして? 」を

 

自問自答していた時は 相手の気持ちが まったく分かりませんでした。

 

ところが 気持ちを 相手に 切り替えてみると わずかながら

 

相手の気持ちが 分かってきたのです。

 

長い間 悩み続けては 怒りを生み出してきた

 

「 あいつらの 理屈が分からない。 僕をいじめる 理由が分からない! 」

 

に 対する答えが 見えてきたのです。

 

『 相手に どうして どうしてと 思っている限り 相手の気持ちなど

 

理解できない 』

 

は この時 発見された 気づきでした。

 

-続く-