「 おまえ まさか 父ちゃん母ちゃん仲悪くて 面白くないから
俺に 八つ当たり してるんじゃないだろうな? 」
すると 彼は これまでの 余裕をもった表情から 一変して
鬼のような形相で 迫ってきたのです。
彼は 地面に落ちていた 棒切れを拾うと 容赦ない 勢いで
殴りかかってきました。
僕は ただならぬ 彼の怒りに 身の危険を感じ 必死に
彼の攻撃をかわしました。
まるで 僕が彼をいじめ 彼が それに対して 必死に抵抗しているように
感じました。
彼は いじめを受け始めた当初の僕のように 「 ウ~ ア~ ア~ 」と
わめき散らしています。感情が高ぶって 言葉になっていないのです。
いじめをしてくる相手に 「 どうして 自分を分かってくれない 」と
泣き叫んでいた 僕の姿が重なりました。
驚きでした。いじめてくる相手が 僕に何を 分かってくれというのだと
理解に 苦しみました。
しかし 涙を流し始めた 彼を見た時 自分の気持ちが 彼の気持ちを
汲み取ることに 切り替わったのです。
僕は この時 はっきり 分かったのです。
「 こいつは やっぱり 僕をいじめることで 自分を慰めているんだ 」
今まで 自分ばかり 分かってもらおうと 「 どうして? 」を
自問自答していた時は 相手の気持ちが まったく分かりませんでした。
ところが 気持ちを 相手に 切り替えてみると わずかながら
相手の気持ちが 分かってきたのです。
長い間 悩み続けては 怒りを生み出してきた
「 あいつらの 理屈が分からない。 僕をいじめる 理由が分からない! 」
に 対する答えが 見えてきたのです。
『 相手に どうして どうしてと 思っている限り 相手の気持ちなど
理解できない 』
は この時 発見された 気づきでした。
-続く-
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