いじめの芽を発見した日3

今まで見えなかった いじめの構造が この時見えたのです。

 

『 いじめてくる奴って 結局は 八つ当たり 』

 

まだ 彼らの中にある「 認められていない自分 」が 

 

うっぷんを生み出していることは 分かりませんでしたが 

 

「 このうっぷんを どこかで 晴らしたい 」

 

という無意識が いじめの根底に流れていることは 分かったのです。

 

僕は 彼が 哀れに 思えてきました。

 

だからといって 彼の行動は 許せませんでした。

 

心の葛藤は分かりましたが それ以上 彼の気持ちは

 

理解できませんでした。

 

というよりも だから どうして 自分の葛藤のはけ口として

 

他人を利用しようとするのか?

 

ますます 僕には 分からなくなってしまったのです。

 

ただ 少し前の 僕であれば

 

「 ふざけんな おまえだって 苦しいんだろ!

 

だったら 何で 俺の苦しさを 分かろうとしない! 」

 

と 怒りが こみ上げてきて 彼に突進していたと思いますが

 

次の気づきのおかげで それはしなかったのです。

 

何度も 登場している

 

『 結局 人間は 分かりあえない。自分のことすら 分からないのだから

 

他人のことなど 分からなくて当然。そして 相手が 僕の気持ちを

 

理解できないのも 当然。だって 僕じゃないんだから 』

 

です。

 

「 いじめって 結局は 心の弱い人間のすることなんだな。強い奴は 

 

八つ当たりなんかしない。いじめの正体 見たりって感じだ。 

 

頭には来るけど 前みたいに 怖くなくなった気がする 」

 

僕の心に 少し余裕みたいなものが 生れたのでした。

 

僕は 彼に もう一つ 聞いてみました。

 

「 なんで 俺なんだ。なんで 俺を うっぷん晴らしに 選んだんだよ? 」

 

彼の 答えは 少し 悲しいものでした。

 

彼は 僕のことになったとたん じょう舌になったのです。

 

「 おまえ 普通じゃないからだよ。 醜い顔の奴 いじめても 誰も

 

悪いとは思わないんだよ。ちょうどいいはけ口なんだよ。おまえは

 

そういう役目のために 生まれてきたんだ。 気づいて ないのかよ 」

 

「・・・・・・・・・」

 

返す言葉が ありませんでした。

 

「 やっぱり 分かんない。 どういう考え方なのか さっぱり 理解できない。

 

でも いいや 分からなくていい。 僕は そんなために 生まれてきたん

 

じゃない。 腹を立てる必要もない 」

 

僕は 走って 彼から 逃げ去ったのです。

 -続く-