いじめっ子の狂気2

Eからは 僕が抵抗すればするほど その目つきに敵意が

 

こもっていくのを感じていました。

 

そして このEこそ 虫を 落書きしたノートに 

 

はさみこむことを 仲間に提案し やり始めた張本人だったのです。

 

なぜ分かったかと言うと 自分で話したからです。

 

押さえつけられた僕に 自慢げに こう話したのです。

 

「 おまえさぁ~。自分のせいで 虫が殺されんの嫌なんだろう。

 

最初ミミズ入れたら バカみたいに墓作って 泣いてただろう。

 

あれ見て 分かっちゃったんだよね。おまえの弱点。

 

俺いじめられたことあるから どうすれば いじめられている奴が

 

一番悲しくなるか 分かっちゃうんだな~。この間も 泣きながら 

 

虫埋めてただろう。俺 見ててうれしかったねぇ~。

 

どんどん 殺してやる。どうだ。悔しいか。この弱虫め 」

 

こう言いながら 彼は信じられないことをして見せたのです。

 

また捕まえてきた バッタの足をちぎって こう言ったのです。

 

「 恨むなよ~。恨むなら言うこときかない このミミズ野郎を恨め 」

 

僕は大声で やめるよう叫びましたが やめませんでした。

 

すると 僕の両目から 勝手に 涙があふれ出てきたのです。

 

激しく抵抗し もがく僕を見て そばにいたもう一人が

 

面白がり始めました。

 

彼は 急いで 別のバッタを捕まえてきたのです。

 

「 こいつ 殴っても 虫食わせても なかなか泣かないから 

 

どうしてやろうと思ってたら こんなことで 泣くのか 面白い。

 

そうか こういうことすると 悲しくて 弱っていくのか。

 

そうかそうか いいか おまえも こうやって弱って

 

死んでいけばいいんだ 」

 

彼も笑いながら バッタの太い足を 引きちぎったのです。

 

「 こいつら 狂っている! 」

 

僕には まったく 理解のできない行動でした。

 

バッタは よろけながら 必死に逃げました。

 

しかし すぐ捕まえられ どんどん足をもがれ 弱っていきます。

 

そして ついに動かなくなったのです。

 

-続く-