Eからは 僕が抵抗すればするほど その目つきに敵意が
こもっていくのを感じていました。
そして このEこそ 虫を 落書きしたノートに
はさみこむことを 仲間に提案し やり始めた張本人だったのです。
なぜ分かったかと言うと 自分で話したからです。
押さえつけられた僕に 自慢げに こう話したのです。
「 おまえさぁ~。自分のせいで 虫が殺されんの嫌なんだろう。
最初ミミズ入れたら バカみたいに墓作って 泣いてただろう。
あれ見て 分かっちゃったんだよね。おまえの弱点。
俺いじめられたことあるから どうすれば いじめられている奴が
一番悲しくなるか 分かっちゃうんだな~。この間も 泣きながら
虫埋めてただろう。俺 見ててうれしかったねぇ~。
どんどん 殺してやる。どうだ。悔しいか。この弱虫め 」
こう言いながら 彼は信じられないことをして見せたのです。
また捕まえてきた バッタの足をちぎって こう言ったのです。
「 恨むなよ~。恨むなら言うこときかない このミミズ野郎を恨め 」
僕は大声で やめるよう叫びましたが やめませんでした。
すると 僕の両目から 勝手に 涙があふれ出てきたのです。
激しく抵抗し もがく僕を見て そばにいたもう一人が
面白がり始めました。
彼は 急いで 別のバッタを捕まえてきたのです。
「 こいつ 殴っても 虫食わせても なかなか泣かないから
どうしてやろうと思ってたら こんなことで 泣くのか 面白い。
そうか こういうことすると 悲しくて 弱っていくのか。
そうかそうか いいか おまえも こうやって弱って
死んでいけばいいんだ 」
彼も笑いながら バッタの太い足を 引きちぎったのです。
「 こいつら 狂っている! 」
僕には まったく 理解のできない行動でした。
バッタは よろけながら 必死に逃げました。
しかし すぐ捕まえられ どんどん足をもがれ 弱っていきます。
そして ついに動かなくなったのです。
-続く-
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