いじめに回る心の弱さ3

僕は 右腕を 彼の首に巻きつけ 手首近くの骨を のどに 密着させました。

 

倒れながら 彼の首を 右脇下に押し下げ、両足を彼の背中で クロスさせまし

 

た。 そして やや腹筋運動するかのように 上体を持ち上げながら

 

両足両腕で 絞り上げたのです。ぐいぐい絞り上げました。柔道をやっているお兄

 

ちゃんに教わった技でした。僕は習った技の中で 相手の後ろに回って使う 裸締

 

めという技が得意だったのですが 押し倒された場合に使えと 三角締めと一緒に

 

教わっていたのです。 

 

Eはたまらす 地面を叩いて 「 参った 」の合図をしてきました。

 

僕は 少し力を緩めて Eを 問い詰めて 聞きました。

 

「 何で俺のことを 目の敵にすんだ。 おまえに 何かした覚えはないぞ 」

 

すると Eは 次のように言ったのです。 

 

「 うるさい 逆らうおまえが悪いんだ。逆らうから 憎たらしくなるんだ。

 

おまえも 俺みたいになって欲しかった。そして 俺の子分にしたかった 」

 

僕は 思わず 罵倒しました。

 

「 ふざけんな 誰が おまえみたいになるか。おまえの子分になる

 

くらいなら 死んだ方がましだわい 」

 

Eは このケンカの後 決して一人では 僕に手を出してこなくなりました。

 

彼は 複数で僕を襲う時 これまで以上に 憎しみの目を向ける時もありました。

 

でも 時々 こんなことを言って 僕から目をそらすようになったのです。

 

「 何でだよ。おまえバカか? 何でやられても 逆らえるんだよ 」

 

今までも 同じような言葉を 投げかけてきていたのですが 

 

これまでと 明らかに 言い方が異なっていました。

 

そして ノートへの落書きも しだいになくなって 行ったのです。

 

ただ けっして いじめを止めることは しませんでした。

 

その後 隠れ家で Eの言葉が ふと浮かんだ時

 

Eが どうして 僕に 憎悪の目を向けたのかが 分かりました。

 

-続く-