「 信心がたり~ない カ~ツ!! 」
「 先生 俺真剣なんですから ちゃんと答えて下さいよ 」
「 俺だって 真剣さ。友達つくりたいなら 相手を信じろよ。
おまえの その気持ちが相手に伝わって バリアはられちゃうよ。
いずれにしても 次回からは もう無理するのを やめたら
いい。おまえの そのまんまで いいんじゃないの 」
「 そのまんまって な~んか 適当だな。 だいたい
そのまんまになったら 俺 話すこと何もないです。
どんなこと 話せばいいんですか? 」
「 俺 この間10秒続く 屁しちゃったとか 数学5点だった
赤点になりそうでヤバイとか この間 こんな失敗したとか
そんな話題の方が 相手も安心すると思うよ。最新の情報を提供
して 話題作りするより ずっと友達になりやすいと思うよ 」
「 俺 もっと長い屁したことありますよ 」
「 おお~ いいね へロングマンと 呼ばして頂く 」
「 呼ばなくていいです。でもそんな話をして バカにされないすか?
それにへロングマンなんて 呼ばれるようになったら嫌ですよ。
俺 バカにされるのが 嫌いなんです 」
「 そ~ら また怖がってる。もしかしたら バカにされっかもな。
それに へロングマン いいじゃんか。俺なら 気に入るぜ。
それに俺なんか どんだけバカにされてきたか?
でも それでいいんじゃない。
相手も おまえに失敗談話しても大丈夫だなって 心を開いていくと
思うよ。友達って 見栄を張りあうためのものじゃないんだから。
ママ友とかの中には そういう人いるみたいだけど それは友達じゃない。
神経すり減っちゃうような友達なら いない方がずっといいよ 」
「 う~ん ハードル高いな~。そこまで自分を落とさないと
あいつらの仲間になれないんですか? 」
「 落とす? おまえ ありのままのおまえは ダメな奴なのか?
そうじゃないだろ 自信持てよ。 それに なんで あいつらと
友達になりたいんだ? 」
「 だって どの授業の時も あいつら茶化し入れるし
嫌な茶化しじゃないし 皆喜んでるじゃないですか。仲間に入れば
一番楽しめそうじゃないですか? 」
「 あのさ 友達を作ろうと焦ると
たくさん仲間が集まっているグループに 入りたくなるってのも分かるよ。
でもクラスの中心的なグループが 自分と似た性質を持っていれば
仲間になりやすいけど 違っていると難しいよ。
話を合わせようと 無理するから つき合いを持続するために
余計なエネルギーを使っちゃう。こういうのは 長続きしないと思うよ。
おまえ あいつらの話題に 本当に興味あるの?
無理してネタ集めしてるんなら 波長が合わないってことだよ 」
「 ビミョ~。でも まあまあ興味ありますよ 」
「 ならいいけど。無理に話題についていこうとすると
自分の持っている情報を ひけらかす感じになって
上手くコミュニケーションが取れないよ。
それより まずクラスで 自分と同じような奴いるか 探してみなよ。
そいつの方が 仲良くなりやすいよ。その方が無理しなくてすむと思うよ。
クラスで おまえみたいな奴 まだいるぞ。俺はもう見つけた。
休み時間 廊下で一人 教室内を覗いてる奴がいた 」
「 だ 誰ですか そいつ? 」
「 ○○だ。まず あいつから 話しかけてみろよ。あれはどうみても
友達探しているな。類は友を呼ぶっていうだろう。
だから まず 自分と波長の合う相手から 話しかけてみろよ 」
「 ええ~○○ですか。 なんか暗そうじゃん。同じじゃないですよ 」
「 おまえ あいつが暗いかどうかなんて 話してみたことないくせに
失礼だぜ。おまえと同じで 自分が傷つくことが怖いって意味で
同じなんじゃないかな? 」
「 結局 先生は 俺が臆病だって言いたいんですか?
俺が知りたいのは そんな人間分析じゃなくて 友達を作る方法なんです。
俺 さっき言ったように マジに悩んでんですよ 」
彼は 少し イラついた口調で 僕に詰め寄ってきました。
「 はっきり言って そうなのかもしれないな。ほんのちょっと
勇気が足りないな。それは声をかける勇気じゃないよ。
おまえは 自分を 見られたい自分でないように見られてしまうことを
怖がっている。そんな自分を認める勇気だよ。それが足りない。
さっきから何度も 答えは出てるし おまえも 最初から答えを持って
ここに来たんだよ 」
「 えっ? 意味が分かりません 」
「 おまえ何で俺に相談したんだ。いっぱい先生がいるだろう。
担任でもない俺に どうしてしてきたんだい? 」
「 だって 先生 皆に好かれてるし 実際面白いし
きっと人を引きつけるテクニック 知ってるんだと思って。
そして 先生なら 相談のってくれるかなって思ったから 」
「 そうか 好かれているのか ありがたいね。
でもさ 俺 生徒を引きつけようなんて思ってなんかないよ。
先生としていい事言おうなんて事も 考えてない。
見てれば分かるだろ。バカなことばっか言ってる。
ただウソはない。ありのままなんだな。
だから それ見て バカだな~ この先生って思っている生徒も
たくさんいると思うよ。ただな 授業の繰り返しが 今の俺の人生の主体だよ。
そこ 偽っていたら 人生ムダに過ごしている気がすんだな。
もったいない。俺そのままの姿で 生徒とつき合いたいんだよ 」
「 確かに 先生って 気負いがないよね。いつも元気で明るいし
こっちまで明るくなる 」
「 おお~ 初めて誉めてくれたじゃん。うれびー ハグしてやる 」
「 遠慮しとくって もう~ ホント バカ先生なんだから。
でも本当に喜んでるって分かるから 笑っちゃうんだよね 」
「 なっ そうやって バカにされてんだろ俺って 」
「 えっ・・・先生 そうじゃない バカになんかしてないって。
すいません そういう意味で言ったんじゃないですって。
バカにしてたら 相談なんかしないですって。
いろんな失敗談話してくれる先生だし それなのに明るいから
相談したくなったんですって 」
「 ふふ 冗談だよ。バカにされたなんて思ってないよ。
それにされても いちいち気になんかしてないよ。だ
って 俺 自分が大好きだから 」
「 何だ ビックリした。驚かさないで下さいよ 」
「 でも 今 自分で 何て言ったか分かったかい。
人が相談したくなるって きっと その人物が 崇高だとか
権力があるとかじゃないんだよ。
自分の前で ありのままの姿でいてくれる人物だからなんだよ。
人間 ありのままなら 必ず失敗や弱みがある。
それを全てなんか無理だけど いくつか見せることができるんだな。
すると不思議と 相手も心を開いてくれる。それは 友達だって同じだよ 」
「 そうか 先生って バカだか 利口だか 分かんないね 。
そんな先生に相談する俺って もっとバカだか 利口だか 分かんないね。
俺って ヒビリ屋なんだよね。ずっと そうだった気がする。
皆はどうなのかな? 」
「 ふっ それでいいんだよ。 その感じで 話せばいい。
なっ 答えは自分で出していただろう。
ただ それに気がついていなかっただけなんだよ。
本当の友達を作りたかったら ありのままの自分
つまり時には 自分の弱みも話すことだよ。
弱みを話すって 自分をおとしめることじゃないんだよ。
自分と相手の心を開いて
より多くの人と繋がる架け橋をかけることなんだと思うんだな。
てか おまえを見て 今思ったんだけど。
これだって 結局 おまえが 失礼を承知でいってくれたことで
気がついたことだよ 」
「 分かりました。○○に話しかけてみますよ。
また何かあったら 来てもいいですか? 」
「 いいよ。待ってるよ 」
間もなく 彼は○○とも なかなか仲間に入れなかったグループとも
友達になれたようでした。
この中で 卒業後も ずっとつきあっていける友達が
一人でもできればいいなと 願いながら 彼らを見ていました。
「 先生 サンキュー ほんとバカなんだか
すごいんだか分かんないね 先生って 」
後に 彼から また言われた言葉は
「 俺は幸せもんだな。ありのままでいるだけで
ありがたがってくれる人がいるなんて。
世の中 必要とされていない人なんて いないんだな~ 」
と僕の心を幸せにしたのです。
ですから 今友達がいなくても 素直に自分を表現できる相手が
必ず出てくると思います。
それを 引き寄せる強い磁石を作っているのだと思って
焦らず 自分に栄養を与える毎日を送ればいいのです。
もし 娘さんに相談されたら そのように伝えてあげて下さい。
友達は作ろうとして作れるものでなく
互いの生きざまが干渉しあって、自然に出来上がっていくのだと思います。
見栄を張りあう つき合いでは 本当の友達はできません。
自分の弱みをさらすことは 相手の心を開き
友情を育む架け橋になるのだと思います。
頼り過ぎはいけないが 互いに頼り
時には 相手のために 嫌なことも言ってくれる。
このような助け合いのできる拠り所があることは
人生にとって大きな財産だと思います。
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