僕はいじめの中で 何度も「 今日中に死ね! いいな 今日死ね。 そうすれば
目障りはいなくなり 俺たちは嬉しいし おまえも楽になれる 」と言われました。
心が弱った時 この言葉に導かれるように自殺しようとしたことは 以前に
書きました。
そして 僕が自殺を思いとどまった翌日 彼らに会うと 次のように言って
襲い掛かってきたのです。
「 何で死ななかった。何で俺たちの言うことを聞かなかった!」
彼らは 最悪の場合 僕が死ぬかもしれないことは 意識しているのです。
だから何度も言います。いじめは 相手を苦しめたいからやるのです。
それに死ぬと分かっていたらという表現じたいが おかしいのです。
死ななければ 何をやってもいいのかと言いたくなります。
Eにとって 目先の利益は 僕を悲しませることで 悲しみのあまり
僕が死ぬかもしれないことも意識の中にはあるのです。
僕の自殺は ちゃんと「想定内」の認識でした。
Eにとって本当の「想定外」は 僕が急激に強くなっていることだったのです。
「 おまえ 本当にうそつきだな。そんなウソに 俺はだまされない。
もうやめると 約束しろ 」
僕は Eに こう言って もう一度 思いっきり 絞り上げました。
絞め技をほどくと 僕はEにバッタを埋める手伝いをさせました。
なぜか Eは逃げようともせず 素直に従いました。 逃げようと思えばできるし
逃げても追うつもりもなかったので 以外な行動でした。
「 おまえ 自分が こいつらだったらって 考えたことないのか? 」
Eは 黙って 何も答えませんでした。
「 おまえ 強くなったって言ってたけど 一年前の方がずっと強いよ。 おまえ
卑怯者になっただけだ 」
すると Eは きっとした顔になって 僕を睨み返してきました。
僕とEは数秒間 にらみ合っていましたが Eは ふと目をそらし「フン 」と鼻を
鳴らしました。肩を落として 寺から出て行くEを見ながら 僕はこう思っていま
した。
「 あいつ もういじめをやめるのかな。やめればいいのに そうすれば
痛くたって 悲しくたって 腐ったことしないですむのに 」
残念ながら Eからの嫌がらせは なくなりませんでした。
しかしこの後 落書きノートへ 小さな命が 挟み込まれることは
なくなったのです。Eの心に 何か変化が起ったのかもしれません。
本当の強さとは 相手の立場を考える力であり どんなに自分が不利な立場に
陥ろうと 良心に従う決断を貫くことなのだと思います。
権力や腕力が強いということではありません。
だからEの言っていた強さとは 弱さが強いように見せかけているだけなのです。
このように いじめや人為的事故の謝罪で口にする「想定外」は ほとんどの場合
「想定内」なのです。うっぷんのはけ口や目先の利益を求め 危険性を知って
いながら 目をつむっているだけなのです。
これを打っている僕自身を含め 人間は常に この二つを 心の中で天秤にかけて
生きています。しかし 命の危険性 人の力では対処しきれない危険性があるのに
目をつむってしまえば 取り返しのつかない悲劇が起こります。だから 普通は
こういう場合 利益より 命の重さを選択します。
-続く-
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