沖縄の人と 初めて話をしたのは30年ほど前でした。
空手の指導員をしていた頃 道場に通っていた 沖縄の人と 話をしたのです。
僕は20代後半で 彼は40半ばくらいだったと思います。
1985~90年頃の話ですので 今とはだいぶ情勢は異なっていると思いますが
沖縄の現状を考える時 拠り所となっている
唯一 生の沖縄人と 沖縄について話した経験です。
一時間ほど早めに道場に着いた僕が 準備運動をしていると 彼が入ってきました。
話しかけてみると 沖縄出身だと分かり 沖縄について ほとんど知識のない僕は
いろいろと 聞いてみたのです。
彼をOさんとして 準備運動をしながらの 当時の会話を再現すると
こんな感じになります。
今考えると ぶしつけに 失礼な聞き方をしてしまったと思います。
-僕-
沖縄ってどんな所なんですか? 教えて下さい。
自然が素晴らしいってことくらいしか知らないんですよ。
離島だから やっぱり本土と比べて いろいろな面で 生活に
不自由があるんですか?
米軍の基地も多いらしいですよね。米兵は よく目にするんですか?
-Oさん-
いや 皆さん そう思って沖縄に来るから 驚かれるんですよ。
本土とさほど変わらない便利さだってね。
確かに 離島なのに こんなに発展している所
日本にはないと思いますよ。
米兵は多いですよ。私の家は普天間基地に近いですから
見ない日はないです。
-僕-
へぇ~ すごいですね。
戦争で大きな被害受けて さらに離島っていうハンデがありながら
そこまで復興するなんて 沖縄の人って ものすごく忍耐強く
勤勉なんですね。
基地がなくなれば 本土と 変わらないわけですね。
早く基地がなくなればいいですね。
僕が思ったことを口にすると Oさんは意外なことを言ったのでした。
-Oさん-
ありがとうございます。別段勤勉だということないんですよ。
それに実は 基地がなくなればいいと思っている県民は
そんなにいないんですよ。
基地に来ている米兵相手に生活を営んでいる人達が たくさんいるんです。
基地で働いている人達もいます。
だから完全撤収されたら 困る人 多いんですよ。
-僕-
へぇ~。てっきり 皆 基地なんて なくなって欲しいのかと思っていました。
そうなんですか~。でも基地で勤めるって何するんですか? 清掃とかですか?
-Oさん-
それもあります。他に戦争の手伝いみたいな仕事です。
防弾チョッキ縫ったりとかね。私の知り合いも昔働いていました。
とても心が痛んだけど 子供達を養っていくには 仕事をもらえるだけでも
ありがたいって 言ってました。そういうことをしなければ 食えない家庭も
たくさんあるんですよ。
それも米兵によっては かなり見下した扱いをしてくるらしいんですね。
-僕-
辛い選択ですね。中には 基地反対と思いながらも
そこで働くしかない人もいるわけですか。
基地をありがたいと感じながら働く人と
うらめしく感じながら働く人がいるわけですね。
どちらが 正しいなんて言えませんもんね。
僕が 驚いたように答えると Oさんは僕の知らない 沖縄の現実を
どんどん話してくれたのです。
-続く-
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