変わっていない沖縄9

一昨年くらいでしたか あるパーティーで出会った IT産業に携わっている人が

 

言っていた言葉の意味が やっと分かった気がします。

 

パーティーで 沖縄の唄が流れた後

 

僕は その人に 話すきっかけとして沖縄の話をしてみました。

 

「 沖縄は 一番人口が増えてるんですよね。自然がきれいだし 

 

第二の人生 あすこでと思う人も多いって 分る気もしますよ 」

 

「 それだけじゃないと思いますよ。あすこは 東京の半分の収入でも

 

補助金で暮らしていけるからですよ。 沖縄の一人当たりの所得は

 

全国最低ですよ。普通なら そんな所に 移住しようとは思わないです。

 

いくら自然が美しくても 生活していけませんから 」

 

彼の答えに「 まだ沖縄は Oさんから聞いた話のままなんだな 」と思いました。

 

すると 彼はIT関係の仕事をしているだけあって 仕事と沖縄を結びつけて

 

次のように 話を続けたのです。

 

「 沖縄は クオリティーの高い仕事ができる人材を育て それを生かせる土壌を

 

つくらないと いつまでも単純な仕事を任されるだけの子会社のままでしょう。

 

経済的に困窮していて 人件費を安くできるという理由で単純作業は

 

沖縄にやらせているんです。いいかげん それに気がつかないと 

 

沖縄のIT産業は いつまでたっても 発展しないでしょう。

 

もちろん人材育成のスローガンは掲げていますが 沖縄は言うだけで

 

本気でやろうとしないんですね。だから せっかくいい人材が育っても 

 

本土に行ってしまう。だって活躍する場所がないんだから 」

 

ITと聞いただけで頭がこんがらがる僕は

 

「 沖縄って IT産業が 盛んになったんですか?

 

基地依存から脱出するために IT産業を選んだってことですか? 

 

でも お話だと あまり上手く行っていないようですね 」

 

とたずねてみました。

 

「 基地依存からの脱出ね。正確に言うと IT産業は 基地と

 

無関係ではないですよ。基地関連の復興プロジェクトの一環として 

 

IT産業関連の施設が作られ 人材が育てられてきたのですからね。

 

ただIT産業といっても 沖縄の場合 実態はほぼコールセンターです。

 

外注業務中心で しかも ほぼ正社員ではなく 派遣やパート アルバイトです。

 

低賃金で仕事もきつい。中には丁寧さより数を要求するバカな所もある。

 

つまり ITもコールセンターも 沖縄なら安くすませることができる

 

という理由で 進出しているんです。

 

沖縄の復興というより 本土にある本社の都合なんです。

 

要は本土の合理化を図るために 利用されているだけなんです。

 

IT産業が進出した当時は これで沖縄は変わるなんて 言っていましたが 

 

経済は大して変わっていませんよ。それでも やや稼げるってことで

 

島民は 必死にここで働こうとしていますが その先のビジョンがない。

 

そこが問題なんですね 」

 

「 手厳しいですね。沖縄の人が聞いたら 面白くない意見ですね 」

 

「 いやいや これで頭に来るようじゃ この世界生き抜いていけませんよ。

 

むしろ怒ってナニクソって努力すればいいんですがね。どうも あすこは

 

 感情的になるだけで終わる傾向があるんですよ 」

 

僕は 聞いていて「 いやいや そんなこと言われたら ますます怒るよな~。

 

でも この人は手厳しいだけじゃないな。沖縄のためを思って言っている。

 

大したもんだ。それにしても ITって 厳しい世界なんだな~ 」

 

と思って聞いていたのです。

 

-続く-