バッタとふきのとう5

3年生になる春先の事でした。また複数で襲われました。

 

雪の上で 何度も投げ飛ばされました。

 

一人残され 大の字になって空を見て耐えていました。

 

その時でした。小さな音が聞こえてきたのです。

 

チョロチョロ チョロチョロ

 

「 何? 」

 

目を閉じて 耳を澄ませました。

 

音は 積もった雪の下から 聞こえてきていました。

 

「 雪が溶けてきているんだ 」

 

僕は目を閉じたまま 音を聞き続けました。

 

「 はっ! この一面の雪も 全部溶けて 土が顔を出すんだ 」 

 

意味もなく「 大丈夫だ。ここでもうダメだって 決めちゃいけない 」

 

って思えました。

 

それから数日後 雪はどんどん溶け

 

雪の下から フキノトウが顔を覗かせました。

 

命の輝きを感じました。

 

これを発見した時 自然に笑顔になりました。

 

「 大丈夫 僕にも 必ず春は来る! 」

 

バッタや自然は 人間の言葉を 話せません。

 

しかし 地球に生きている生命は 共通の言葉を持っているのだと思います。

 

その言葉は 人間がおごりを捨てた時 聞こえてきて

 

僕らを励ましてくれます。本当に自然はありがたいものです。

 

大切なものは 当たり前過ぎて 普段は 気がつかないのです。

 

-終わり-