レッツ・ポジティブ1③

たとえば、

掃除当番をサボって帰ろうとする生徒を

別の当番が引き留めようと、言い争っているのを

見かけたことがありました。

近づいて、きちんと当番の責任を果たせと注意すると、

訳の分からないポジティブ発言。

「先生、ポジティブ、ポジティブ、たいして

汚れてないじゃん。こんなに人数いらないって。

だから俺必要ないって。経費削減。

おまえらもポジティブしようぜ。

1日くらいだいじょうぶだって。やったことにしようぜ」

なんとも都合のよい屁理屈が、ポジティブになっていました。

また、赤点になりそうな生徒がいました。

「おい、遺伝分かってないだろう。今日、俺時間取れるから、

勉強していけよ。そうすれば、次の時間からの授業が分かるから。

あと一回しか試験ないんだぞ。このままじゃ、ヤバいだろ。

試験前、一人でやっても絶対分かんないぞ。なっ、そうしろよ。

そんなに時間かかんないから」

と声をかけてみると

「大丈夫、大丈夫、今までは勉強しなかっただけ。

いざいう時は、俺、やれちゃう人間ですから」

「おまえ、ヤバいって感じてないの?」

と、聞いてみると

「先生が心配しても、仕方ないですって。俺って

めちゃ、ポジティブ人間ですから。心配してません」

なんて、反省すべきことを、

都合の良いポジティブで言い訳し

今自分が置かれている状況に

無関心な子もいました。

一番呆れ果て、怒りさえ感じたのは

いじめを注意した時の返答でした。

放課後遅くの出来事でした。

廊下で太った生徒を二人の生徒が

「おいデブ、暑苦しいんだよ。脂ぎってくせぇんだよ」

と、しつこく言いがかりをつけているのを

偶然見かけたのです。

僕はすぐに飛んでいき、やめるよう注意しました。

高三の生徒でした。言われた方は、少し涙ぐんでいました。

見るからにやさしそう、

言い換えれば気の弱そうな生徒でした。

様子から、どうやら今始まったことではないと

感じました。

すると、注意された生徒は、

驚きのポジティブ理論を展開したのです。

-続く-