「大丈夫?」は思いやりの原点2

僕は、特別やさしい人間ではありませんが、

人を思いやることを教えてくれたのは、やはり母でした。

学校で休みが続いている友達のことを話すと 、

「大丈夫かね〇〇ちゃん。明日は出てこれるといいね」

学校で誰々ちゃんが、転んでケガをした話をすれば

「痛かったかったろうねぇ~。 切ないねぇ~、」

運動会で転んでしまった子がいれば 、

「今日、ものすごい転び方した子いたねぇ~。 膝からいっぱい血出して、

かわいそうだったねぇ~ 保健の先生に手当してもらっていたねぇ~、

でも最後まで走って偉かったねぇ~。 早く治るといいねぇ~」

一緒に歩いていて、痩せた野良犬を見ると 、

「痩せてたねぇ~。今日、食べるものあるのかねぇ~」

外出先で、大きな風呂敷を背負って、 両手に荷物を持ったおじいちゃんが、

遠くを歩いていれば 、

「あれ、あのおじいちゃん、どこまで行くんだろうね。 あんなに荷物、

一人で持って大変だ。 もう着くんならいいんだがねぇ~」

このように、僕の話すことにきちんと関心を示してくれて、

同時に、相手を思いやる言葉を聞かせてくれました。

さらに見知らぬ人であっても、その人に関心をもって、

相手を思いやる言葉を聞かせてくれました。

そして本にも書きましたが、 長靴を隠された理由として、

釘を踏んで穴が開いてしまったから捨ててきたと 、

ウソを言った時もそうでした。

長靴よりも、まずは足のケガを心配したのです。

今思い出すだけでも、 心に残っていることがたくさんあります。

人を思いやる心は、最初からたくさんあるものではなく、

育て上げていくものだと思います。

よく発達障がいの子供は、コミュニケーションを取るのが 苦手だと言われます。

その通りです。

しかし、彼らもきちんと人を思いやる気持ちを持っています。

いや、人一倍もっています。

いじめで落ち込み、校庭で一人たたずんでいた僕に

「だいじょうぶ?」

こう心配してくれた発達障がいの生徒がいました。 本当にうれしかった。

-続く-