僕は、特別やさしい人間ではありませんが、
人を思いやることを教えてくれたのは、やはり母でした。
学校で休みが続いている友達のことを話すと 、
「大丈夫かね〇〇ちゃん。明日は出てこれるといいね」
学校で誰々ちゃんが、転んでケガをした話をすれば
「痛かったかったろうねぇ~。 切ないねぇ~、」
運動会で転んでしまった子がいれば 、
「今日、ものすごい転び方した子いたねぇ~。 膝からいっぱい血出して、
かわいそうだったねぇ~ 保健の先生に手当してもらっていたねぇ~、
でも最後まで走って偉かったねぇ~。 早く治るといいねぇ~」
一緒に歩いていて、痩せた野良犬を見ると 、
「痩せてたねぇ~。今日、食べるものあるのかねぇ~」
外出先で、大きな風呂敷を背負って、 両手に荷物を持ったおじいちゃんが、
遠くを歩いていれば 、
「あれ、あのおじいちゃん、どこまで行くんだろうね。 あんなに荷物、
一人で持って大変だ。 もう着くんならいいんだがねぇ~」
このように、僕の話すことにきちんと関心を示してくれて、
同時に、相手を思いやる言葉を聞かせてくれました。
さらに見知らぬ人であっても、その人に関心をもって、
相手を思いやる言葉を聞かせてくれました。
そして本にも書きましたが、 長靴を隠された理由として、
釘を踏んで穴が開いてしまったから捨ててきたと 、
ウソを言った時もそうでした。
長靴よりも、まずは足のケガを心配したのです。
今思い出すだけでも、 心に残っていることがたくさんあります。
人を思いやる心は、最初からたくさんあるものではなく、
育て上げていくものだと思います。
よく発達障がいの子供は、コミュニケーションを取るのが 苦手だと言われます。
その通りです。
しかし、彼らもきちんと人を思いやる気持ちを持っています。
いや、人一倍もっています。
いじめで落ち込み、校庭で一人たたずんでいた僕に
「だいじょうぶ?」
こう心配してくれた発達障がいの生徒がいました。 本当にうれしかった。
-続く-
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