もともとなかったんだ! 2/2

 

人生、すべての問題を解決しながら生きていくことは

 

無理なことです。

 

自分ではどうしようもないことには、必ず出くわします。

 

それなのに、問題解決に固執しすぎると、

 

背負わなくてもいい

 

重荷を背負って生きることになります。

 

とても生きていくことが苦しくなります。

 

解消しきれない問題を意識し過ぎると、

 

何かのきっかけで、

 

いつもより強く不安、怖れにとらわれることがあります。

 

もし一人きりになった場合、

 

生きていけるかと怖くなり、

 

ますます明るい将来が見えなくなるのです。

 

そんな時には、次のことを意識すると

 

良いと思います。

 

不安、怖れ、憎しみは、

 

最初からあって

 

何かの原因でそれに出会って

 

取り込まれるから

 

怖れたり、憎んだりするのではない。

 

もともとはないもので、

 

考えるからそこに生まれる。

 

これだけでも、心が軽くなっていきます。

 

中巻②に書いたように

 

当時の僕は、

 

コロコロ入れ替わってしまう自分の心を痛感し、

 

何て僕は弱いんだと嘆いていました。

 

朝頑張ると誓っても、すぐ落ち込み、

 

学校で誓い直しても、再びいじめにあえば

 

またひどく落ち込む。

 

同じものを見ているのに

 

生じる思いに、天と地との差がありました。

 

結局、気持ちが落ち込んだ時は、人間、ろくなことを

 

考えないのです。

 

もし、あなたがひどく落ち込んでいるとしたならば

 

「今僕()はとても落ち込んでいる。

 

こんな時はろくなことを考えない」

 

と、意識しましょう。

 

そして、こう思いましょう。

 

「考えなければ、嫌な気持ちは消えていくんだ。

 

だって他にも嫌な事、いろいろあったはず。

 

なのに残っていない。つまり、嫌な思いは意識

 

しなければ、心から消えていくものなんだ。

 

ずっとあると感じるのは、ずっと考えているからだ。

 

だから3分考えなければ、きっと消えてしまう」

 

なぜ3分なのかは、理論的根拠などありません。

 

笑われてしまうでしょうが、ウルトラマンが地球上で

 

戦える時間の3分です。

 

当時の僕にとって、たかが3分、されど3分の項目

 

で書いたように、

 

3分はウルトラマンが地球を救う時間でした。

 

特別な時間だったのです。

 

ピンチを逆転するの時間だったのです。

 

でも不思議なことに、3分考えないと、

 

不安は本当になくなってしまっていました。

 

人間は落ち込んでしまうと、

 

なぜ、どうしてと、叫びます。

 

自分がそうなってしまった理由を捜します。

 

理由を見つけて、文句を言いたいのです。

 

すぐ理由がみつかることもありますが

 

見つからない場合もあります。

 

理由が見つからないと

 

より不安になるのです。

 

どうしてこうなってしまったのだろう?

 

何が悪かったのだろう?

 

理由が分からないのに、

 

このままで、大丈夫なのだろうか?

 

それを突き止めて何とかしないと、

 

もっと悪くならないだろうか?

 

前向きに考えることより

 

理由を捜すことに気持ちが

 

向いてしまいます。

 

一生懸命生きてきたのに、

 

別段、悪いことをしてきたとは思えないのに

 

こうなってしまった原因はどこにあるのか

 

受け入れたくない現実、

 

理由が見つからず理解不能の現状に、

 

心がかき乱されるのです。

 

こんな時思い浮かぶことは、否定的なことばかりです。

 

そして、落ち込んでいる理由を

 

何かのせいにして、

 

決着をつけようとしている

 

自分に気がつかないのです。

 

かく言う当時の僕は1年半ずっと、

 

心に生まれる不安、怖れ、憎しみを

 

ヤケドといじめっ子のせいにしようと

 

躍起になっていたのですから、

 

その代表とも言えます。

 

ろくでもないことを考えているのに

 

それが正しい判断だと、正当化していたのです。

 

いじめ(病気、不都合)があっても、

 

その原因に執着しないことです。

 

それがあるから、確かに辛いのですが、

 

それがあっても、不幸だと考えないで

 

元気に生活している人もいることを

 

忘れてはならないと思います。

 

そのせいばかりにすると、

 

今が台無しになります。

 

小学校3年生の僕が、これらの気づきから

 

行ってきた心配を消していく方法を紹介します。

 

心から不安が消えなくなったら

 

「心配していることは今、起こっているの?

 

と、問いかけましょう。

 

今何も起こっていないことが分かったならば

 

「だったら、今が大切だろ。今を台無しにするな」

 

と、自分に言いましょう。

 

言い方を変えてみます。

 

今食べれば最高に美味しい大好きな料理が

 

目の前にあって、食べて良いのです。

 

それなのに、それを食べて楽しもうとせず、

 

あれこれ考えていたならばどうなるでしょう。

 

冷めるどころか、長引けば腐ってしまいます。

 

そうなった時、腐ってしまうまで気がつかなかったのは

 

あの原因がいけないのだと嘆くとしたら、

 

バカみたいな話です。

 

それにすら気がつかないのが

 

落ち込んだ時の判断力なのです。

 

だから、不安になったら、

 

「今だよ、生きるって今の連続だよ。

 

だから今を楽しもうよ。もったいないよ」

 

と、自分に話しかけることを、やってみましょう。

 

これで「そうだね」と思えれば、OKです。

 

僕は何度も、これで気持ちを明るい方向に

 

すぐ修正できました。

 

が・・・・

 

落ち込みがひどい時、そう思えないことも、

 

よくありました。

 

「そんなこと言っても、

 

別に楽しいことをしているわけでもないのに、

 

楽しめないよ」

 

こう文句をいう自分が現れるのです。

 

それでまたどう考えればいいのか、悩みました。

 

これは難問で、隠れ家で一生懸命考えても、

 

答えは得られませんでした。

 

ところが、この難問は、ある日、母が発した一言で、

 

いとも簡単に解決してしまったのです。

 

家で母と子供達全員が遊んでいた時でした。

 

「あ~楽しかった、楽し過ぎて、お母ちゃん苦しいよ」

 

と、母がはちきれんばかりの笑顔で言ったのです。

 

「どうして楽しいのに苦しいの?

 

妙に感じたケンは聞いてみました。

 

「笑い過ぎて、お腹の筋肉つっちゃったんだ。

 

久しぶりだよ、こんなに笑ったのは、あ~楽しかった」

 

ケンは、思い切って聞いてみました。

 

「お母ちゃん、いつも楽しいんじゃないの?

 

 こう聞いたのには理由がありました。ケンにとって、

 

母はいつもニコニコしている太陽だったからです。

 

とにかく子育てが楽しいという喜びに満ちていたのです。

 

その母が楽しかったと言ったからでした。

 

「ふふ、そうだね。おまえ達がいればいつも楽しいよ。

 

でも楽しいって言ったって、

 

今みたいにバカ楽しいってことじゃない。

 

普通だよ、それで十分だ」

 

母の言葉が、ケンの心に突き刺さりました。

 

「そうか、そうだよな。楽しいと感じることなんて一瞬。

 

誰だって、ほとんどは、そんなこと意識しないで生きている。

 

だから普通にしていられることに文句を言っていたら、

 

絶対、い~まもいいからにすらならないよな」

 

「い~まもいいから」って、

 

今に満足しないで、

 

もっともっと楽しいことはないかって

 

欲を出すと、壊れてしまうものなんだ。

 

考えるから不安になると同じなんだ、

 

不安になるって、今に満足しないってことなんだ。

 

それからというもの、

 

心から不安が消えなくなると

 

「ケン、おまえ欲張り過ぎていないかい?

 

たとえ、今楽しいことをしていないとしても、

 

これで十分幸せなんだよ。

 

今に文句言ったらバチが当たるよ、

 

そんなことしているから不安になるんだよ」

 

と、言い聞かせるようになってきました。

 

さて今に満足するためにいい方法があります。

 

これは中巻②、心が明るくなる祈りの章に書いた、

 

微笑みという方法です。

 

この方法を行っていれば、今に満足できるのです。

 

微笑み顔を作り、大切な人を思い浮かべるのです。

 

そして全身を、微笑んでいる大きな顔だとイメージします。

 

すると、その人に感謝の気持ちが湧いてきます。

 

自然とやさしく、穏やかな気持ちに浸ることができます。

 

自分を支えてくれている人がいて、

 

今の当たり前があることに気がつけるのです。

 

そうすると、今で十分であることが理解できてきます。

 

さらにその人が幸せであって欲しいとも思えくるのです。

 

それだけではありません。

 

自分の中にやさしい気持ちがあることを知ることができます。

 

自分を信じる気持ちが生まれてきます。

 

「そうだ、とにかくできることを、一つずつやっていこう。

 

そしてそれに満足していこう」

 

と、前向きな気持ちになっていけます。

 

是非、やってみて下さい。

 

長くなったので、不安になった時の

 

対処方法をまとめておきます。

 

1 不安、怖れ、憎しみは、 

最初からあって 

何かの原因でそれに出会って 

取り込まれるから 

怖れたり、憎んだりするのではない。 

もともとはないもので、 

考えるからそこに生まれる。 

これをまず意識する。

 

2 不安がっている自分をダメな奴と責めないこと。 

不安は大きな失敗を防ぐための 

シグナルなのだから、

それをもとにできることをすればいいだけ。

あれこれと考えれば、完全な準備など

永遠にできない。

 

3 落ち込んだら、人間は落ち込んだ時、

  ろくなことを考えないから

  人生など、重要なことを考えないこと。

  否定的な事しか考えないから、

  ますます落ち込んでしまう。

不安は他にもあったはず。

それなのに残っていない。

    つまり、不安は意識しなければ、

心から消えていくもの。

ずっとあると感じるのは、

ずっと考えているからだ。 

考え過ぎるから心配が生まれ、先が怖くなる。

 

4 生きることは今の連続。だから今がどうであれ、

  今を不満に思えば、ますます不安になる。

 

5 今に満足できない時は、微笑みながら、

  大切な人の幸せを祈ること。

  こうすると、今が大切な人に支えられて

  成り立っていることを理解でき、

  感謝の気持ちが生まれる。

  感謝は満足につながる。

 

-終わり-